ファシズムの再来
次に、市民の政治的ニヒリズムの蔓延、ネオ・ナショナリズムの台頭という情勢の中で、「ファシズムの再来」が指摘されていることである。現代の一人一人がバラバラとなり、自らが帰属する共同体=国家に帰属意識をもてない社会に、「公」を復権させようという「下から」の動きと、日本やアメリカで黄昏になりつつあるはずの国民国家が過剰なほどにナショナリズムを強調、国民国家の枠を再強化しようとする「上から」の動きがある。
これらは「第三の国民国家化」を表現している。ミス路なレベルでは一人一人の思想・信条の自由、親密圏を侵害し、マクロなレベルでは自公保への対抗勢力の欠如=左派の衰退となって、「ファシズムの再来」を懸念させると著者は主張している。
また、「ファシズムの再来」を懸念する原因として政治の劇場化・ポピュリズムを挙げている。つまり、投票率の低いまま政治的関心が薄れるがマスメディアでは劇場化した政治が日々消費されていくということだ。