常態化の問題

しかし、グローバル化が進行する中で、経済格差の問題や、環境破壊、テロリズムと戦争の「常態化」の問題は、克服されずますます深刻化している。ここで著者は80年代の東欧市民社会革命の経験から、市民一人一人が政治的主体として積極的・主体的に政治的空間に参与し、社会を変革していく、そのような市民社会の可能性が提起されたことに着目している。

第2章では、まずハンナ・アーレントの「現代」観について『人間の条件』から考察が行われている。人工衛星や遺伝子操作の科学技術の発達は、人が人間からの脱出を試みていると主張している。ここで、アーレントの「現代」と私たちが前にしている「現代」の相同性について山本は言及している。アーレントによれば「近代になって、活動力の中で『労働』と『活動』の位置が転倒し、労働という活動力に価値が置かれ、『社会』という領域と私的領域と公的領域との境界を破壊し、国民国家の勃興とともに、『社会』的領域によって本来の公的領域は衰退してしまった。